電子版だったり、読まなかったり、紙に戻ったり……。
そんなふうに新聞との付き合いを何度も繰り返してきた私ですが、今年の6月末、満を持してまた「紙の新聞」を購読し始めました。
そして、気がつけばすっかりハマっている今日この頃。
毎朝、ポストから新聞を取り出し、まだ少しひんやりした紙の手触りを感じながらページをめくる——。
その瞬間から、新しい情報と知らなかった視点にワクワクするのです。
この3か月間で、紙の新聞を読むことで感じた変化が3つありました。
今日はその「発見」を少し丁寧に綴ってみたいと思います。
1. 意図せず出会う「知りたいこと」の宝庫
以前は、ニュースサイトやSNSを通じて自分の興味がある情報を中心に読んでいました。
「このニュースの詳細は?」「原因は何?」と、検索して調べる。
つまり、“自分が見たいものを選んで見る”スタイルです。
それはそれで便利ですが、世界が少し狭くなっていたのかもしれません。
紙の新聞を毎日読むようになると、思いがけず多くの「新しい扉」が開きます。
たとえば選挙の時期。各政党の政策比較表や、専門家による分析が紙面いっぱいに並びます。
私は特にエネルギー政策に関心があるのですが、そこには「次世代炉」という聞き慣れない言葉が。何だろう?と読み進めると、その種類や仕組みまでわかりやすく解説されていて、「なるほど!」と腑に落ちました。
原子力と一口に言っても、こんなに多様なのかと驚くことも。

次世代炉の種類やその特性について解説。原子力といっても色々なんだと理解。
ニュース記事の裏にある「背景」や「用語の意味」まで自然と理解できるのが新聞の良さ。
知ることが好きな人にとって、毎朝の紙面は小さな宝箱のようです。
さらに意外な出会いも多いのが魅力。
家族や友人、生徒さんの仕事に関わる記事、知人が勤める会社の特集などがふと目に入り、話のきっかけになります。
「あの会社、今景気いいのね」「宝塚のスポンサーをしてるこの企業、どんな事業なんだろう?」と興味の糸が広がっていくのです。
世界の出来事が急に「遠いもの」ではなく、「自分の日常の延長線」に感じられる瞬間が、何より面白いのです。
日曜版の楽しみと文化との出会い
平日はニュース中心ですが、日曜日の紙面は少し違います。
特集や文化紹介、写真の多い紙面構成で、まるで雑誌のよう。
(ちなみに、日経新聞では日曜だけ少し光沢のある紙を使っている気がします。)
先週の特集は「本のカバー」についてでした。
本屋好きとしては、読んでいるだけで幸せな気持ちに。
紙面で紹介されていたデザインの話をきっかけに、本を買いに出かけたほどです。
また、記事をきっかけにサティのピアノ作品を聴いたり、Netflixで映画『Adolescence』を観たり。
新聞から文化の扉が次々と開いていく感覚が、たまらなく楽しいのです。

雑誌のような誌面
2.夫婦の会話が増えた不思議な効果
紙の新聞を取り始めてから、思いがけない副産物がありました。
それは「夫婦の会話が増えたこと」です。
夫も自然と新聞を手に取るようになり、
「Aの記事、仕事に関係ある?」「Bさんのことが載ってたね。最近どうしてる?」などと、話題が広がります。
結婚して20年以上経つと、日常の会話はつい限定的になりがちですが(笑)、新聞が新しい共通の話題を運んできてくれるのです。
地域の記事も多く、「あのレストランの本店、実は○○にあるらしいよ」「あの家電量販店、すごく業績いいんだって」「高専が今人気なんだってね」など、日々のちょっとした会話が生まれます。
スマホでニュースを見るより、なぜか話が弾むのは不思議です。
同じ紙面を共有して、同じ時間に読む——それだけで一体感が生まれるのかもしれません。
3.新聞紙そのものが「暮らしの道具」に
以前は「紙の新聞はかさばる」「捨てるのが面倒」と感じていました。
しかし、今ではその“紙そのもの”をすっかり生活に取り入れています。
キッチンでは油を吸い取るのに使い、掃除では窓拭きや靴磨きに活用。
生ゴミ処理にも最適で、ビニール袋の使用が減りました。
地域では週1回古紙回収があるので、ためすぎずに気持ちよく循環できるのも嬉しいところです。
紙の質感やインクの匂いもまた、なんだか安心感をくれるのです。
デジタルにはない“暮らしの温度”がそこにあるような気がします。
まとめ:情報との付き合い方が変わった
長い間、電子版・アプリ・SNSと情報に囲まれて生きてきました。
でも、いま私の中では「紙の新聞」との新しい関係が始まっています。
朝、新聞が届くと、封を開けるのがちょっとした儀式のように楽しみです。
旅行で数日読めないと、少し寂しくなるほど。
この3か月、紙の新聞を読む生活を続けてみて感じたのは——
情報を“浴びる”のではなく、“味わう”心地よさ。
紙の新聞には、そんな「ゆっくり知る」という贅沢があるのだと思います。
(2025年10月・購読3か月目の感想)
今のところ、デメリットは一つもありません。
むしろ毎朝、新聞を広げる時間がちょっとした幸福です。


